グローバル人材 ホームへ戻る

新潟大学 工学部

機能材料工学科3年 相澤 涼さん
アメリカでの生活は
私の価値観を変えてくれた。

米国・イリノイ大学での英語研修に参加した期間は、今までの中で一番内容の濃い1ヶ月間であったと実感しています。今回の渡米は、私にとって初めての海外でした。アメリカでの生活は、何もかもが日本と異なりました。食文化の違い、人種の違い、建築物の違い、たくさんの違いを感じました。しかし、最も印象的だったのは目に見えない違い−考え方の違いです。

イリノイ大学での研修を経て、私はたくさんの人に出会いました。人種も年齢も様々な彼らでしたが、1つの共通点がありました。彼らは皆、自分の意見をしっかり持っていて、そして自由でした。アメリカ合衆国はよく自由な国と言われていますが、私はそれを肌で感じることができた気がします。私が出会った日本語を学んでいる学生たちの中には、日本にこれから1年間留学する予定の人がいたり、また、他の国々に留学経験・予定があったり、大学を転学している人も珍しくありませんでした。専攻を変えることも普通のことだと聞いた時、とても驚きました。日本で自分の学びたいことを今学ぶことができている、と胸を張って言える人はどれほどいるでしょう。学んでいくうちに自分の進みたい方向が変わっていくのはごく普通のことです。しかし、そこでまた新たなことに挑戦する勇気を持てる人はほんの僅かしかいないのではないでしょうか。

日本人は良い意味でも悪い意味でも自分の意見を言わない、そう言われたことがあります。確かに、授業などでも基本的に学生は黙っていることが多く、強くNOと言える人は少ないと思います。この研修を経て、自分の意見を持つことは語学力よりもっと大切なことだと実感しました。滞在中に投げかけられた質問の中で最も私を困らせたものは、日本人の若者は今の総理大臣や政治について、靖国神社参拝などの問題についてどう思うかという質問です。例え日本語でこの質問を投げかけられたとしても、私はなんと答えて良いかわからないと思います。今の若者は政治についてあまりわかっていなく、強い意見を持っている人は少ないと伝えると彼らはとても驚いていました。私は彼らが自分の国々の政治、歴史だけでなく、日本のことについてもよく知っていることに驚き、そして自分を恥ずかしく思いました。自分の住んでいる国について、私たちはもっとよく知り、そして自分の意見を持っていくべきだと痛感した出来事でした。

本当はこうしたいけど、でも…と様々な理由で躊躇し、自分の言葉を飲み込み、そして皆の意見に流されてしまう人は多いかもしれません。他の人たちと違う道を進むことを恐れてはいけない、自分の意思を無くしてはいけない、もっと自由でいよう−アメリカでの生活は私の価値観を変えてくれました。向こうの学生と話して、自分が日本から語学研修のために約1ヶ月滞在していることを伝えると、決まってすごく短いねと驚かれました。それは私にとって衝撃的な言葉でした。正直に言うと、私は初めての海外ということもあり、出発する前までは1ヶ月間きちんとやっていけるかどうか、日本を出て異国の地に行くことに少しの不安を覚えていたからです。しかし、そんな不安はとても小さなものであったと気付きました。最も必要なものは学ぼうとする意志です。もちろん語学という面でも、生の英語に触れたこの1ヶ月間は自分の力を試し、そして向上することができた素晴らしい時間でした。しかしそれ以上に異文化交流という面は私に大きな衝撃を与え、これからの進路決定にも大きく関係すると思います。

貴重な経験をしたこの1ヶ月間の思い出は、私にとって宝物です。しかしこれからはこの経験を活かしていかなければいけません。語学は使わなければ忘れてしまうし、また環境が変われば自分の価値観も変わっていくでしょう。これからの私に必要なことは、これからも英語を使うことを恐れないこと、様々なことについて自分の意見は何か考えること、自分が生まれ育った日本についてもっとよく知ることだと思います。この経験を活かすか否かは私次第です。これからの生活にプラスの出来事となるよう、ひとつひとつのことに積極的に挑戦していきたいです。そして、また留学のチャンスがあれば、今よりずっと成長した私になって日本を飛び出していこう、そしてそのような気持ちにさせてくれたこの経験、滞在中に出会ったすべての人々に感謝していこうと思います。


(平成27年度掲載)

Copyright(C) Faculty of Engineering, Niigata University,All Rights Reserved. Niigata University